どうも、ダダ子です
漫画『兄だったモノ』にハマってます。
何がそんなに面白いのか、読んだことないよって人に魅力を語ろうと思います。
『兄だったモノ』はジャンルとしてはホラーですが、ミステリーあり、人間のダークな部分あり、危ない恋愛あり、BLありと一言では表しきれない文学小説のような漫画です。
狂気でありながら純粋。
暑い夏にいかがでしょうか。あなたもハマります。
もう、1話冒頭から不穏です。
『兄だったモノ』第一話あらすじと重要人物紹介
『兄だったモノ』1話冒頭、夏真っ盛りの広島。
主人公の女子高生:鹿ノ子(かのこ)が、兄である騎一郎(きいちろう)のお墓参りをしているところから始まります。
そして鹿ノ子は、生前の兄の恋人だった聖(ひじり)と何気ない会話を交わし、笑顔で手を振って帰ります。
実は、鹿ノ子には聖の背後に【緑色の目をした真っ黒の何か】が絡みつき「トルナ」とこちらを睨みつけているのが見えていました(聖には見えていません)。
それはおそらく【兄だったモノ】。
つまり鹿ノ子の兄:騎一郎だと鹿ノ子は確信します。
そんな姿になってでも恋人への執着があるのだと。
鹿ノ子は自分が聖に恋心を抱いていることに気付き、聖に自分を意識させようと決意します。
姿かたちが変わってしまった兄:騎一郎、鹿ノ子、聖の三角関係の始まりなのです。
普通に見える鹿ノ子でさえ…登場人物は、皆どこか狂っています。
そして、それぞれが心に傷を抱えていることも、物語が進むにつれ明らかになっていきます。
美しい絵もさながら、『兄だったモノ』には神話や戯曲、純文学の一説などさまざまな印象的な言葉が織り交ぜられています。
これが深い考察意欲を刺激し、まるで文学作品のような漫画なのです。
兄妹を夢中にさせる魔性の男、中眞聖(なかま ひじり)とは
1話を読めば聖の魅力が伝わるのではないでしょうか。
強めの広島弁と普段が和服であること、性格は穏やかで明るいけれど影もある中性的な男性です。
これは確かに鹿ノ子も好きになっちゃうなぁと納得です。
物腰柔らかでいつもニコニコ。
が、物語が進むにつれ、その退廃的な美しさ(サイコパス感ともいう)が怖くなってきます…。
聖は騎一郎のことを今も愛し続けており、精神的に不安定なところも。
無意識なのか分かりませんが、聖にはどうも特定の人間を自身の魅力にハマらせる何かがありそうです。
というのも回想の場面で明らかになるのですが、騎一郎が聖と出会うずっと昔の学生時代から、聖に溺れる人間がいたようです(BLですね)。
作中、聖はスズランに例えられていました(スズランは表紙にも登場しています)。
スズランは美しい花を咲かせますが、根っこには毒があることから、聖には裏側の顔があるということでしょう。
鹿ノ子の兄・東雲騎一郎(しののめ きいちろう)とは
「兄だったモノ」の兄とは鹿ノ子の兄・騎一郎のこと。
騎一郎は大学時代に南カンナ(女性)と交際していましたが、聖と出会い、南カンナを振って聖の魅力に溺れていきます。
生前の騎一郎は本当に爽やか好青年って感じで描かれています(鹿ノ子視点ですが)。
鹿ノ子の中では、オムライスが大好きで、いつも鹿ノ子に優しくて大好きな兄だったのですが……。
物語が進む中で、生前の兄と関わりがあった母・南カンナ・聖に兄のことを鹿ノ子が聞く場面があります。
すると皆言うことが全く違うんです……こわい。
聖「騎一郎は好き嫌いが多かった。オムライスは大好物だった。」
母「騎一郎は好き嫌いは無かった。」
南「オムライスは好きじゃなかった。そもそも食べることが好きじゃなかった。」
ちなみに鹿ノ子はオムライスは嫌いです……。
どれが本当の兄だったのか。鹿ノ子は困惑します。
読者のこっちも、「え、どういうこと?」状態。
この辺もまた明らかにされていくのでしょう。
【人間は多面的で、全く違う顔も持ち合わせているもの】とは最新話(67話)でも出てくる言葉。
『兄だったモノ』は人間の根っこを表すような事柄が頻繁に起こります。
騎一郎はそのメタファーになっているのかな。
怪異となった兄には鹿ノ子を妹として見ている感じは今のところ皆無です。
一方、鹿ノ子もどこかおかしいし、どこに着地するのか分からなすぎて面白いです。
『兄だったモノ』の魅力を語る
ここからは、私の考える『兄だったモノ』の魅力を4つ挙げてみます。
1. 予測不可能な展開とゾクゾクする恐怖
2. 複雑な人間関係とダークさ
3. 美しい絵と巧みな構成
4. メタファーと伏線多数で考察が止まらない
一つづつ詳しく見ていきます。
1. 予測不可能な展開とゾクゾクする恐怖
冒頭では、兄の恋人である男性に恋をする女子高生の妹の物語という、よくある設定かと思いました。
しかし、話が進むにつれて底なし沼のように恐ろしい展開に変わっていくのが本作の魅力かと。
何が本当で何が嘘なのか……翻弄されます。
予想してます>>漫画『兄だったモノ』最終回はどうなる?考察とネタバレ
2. 複雑な人間関係とダークさ
登場する人物たちは皆、それぞれに秘密を抱えており、誰もが怪しく見えます。
そんな彼らが織りなす人間関係はダークな雰囲気を醸し出しています。
聖の元カレ、元カノ、謎の旅人など。
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鹿ノ子も一見は普通の人ですが、結構内側にドロドロしたものを抱えており、行動が読めません。
3. 美しい絵と巧みな構成
絵が繊細で美しいのにどこか不気味な雰囲気があり、物語の恐ろしさをより一層引き立てています。
カラーページや宣伝ポスターなどの色使いもとても美しくて!見入ってしまします。
また、構成も巧みなんですよね。
4. メタファーと伏線多数で考察が止まらない
ラストまで読んでも、何が真実だったのか、何が嘘だったのか、完全に理解することはできません。
だからこそ面白い!
メタファー的なものも多く登場しますし、伏線も多いので、考察が止まらない作品となっています。
そのうちの一つとして、表紙には全て何かしらの花が描かれているんですが、これも意味ありますよね。
花言葉で登場人物の心理描写をするのは「鬼滅の刃」でもありましたね~。
無一郎君の回ではイチョウが意味深に使われていました。
あちらも作者は女性ですが、こういう細やかな考察ネタがたまらないです。
読者のレビューでは、色々な考えが読めますが、結構皆意見が違うんですよね~。
みんなであーだこうだ言うのも、この作品の大きな魅力だと思います。
とにかく、作者さんの知見の広さに尊敬の念を抱くこと間違いなしです。
美容院に行ったら美容師さんが「白髪一本見つけた」と報告してきたので「とうとうそんな年齢になったのか」と己の死期を感じていたら「待って!この白髪根元が黒くなってる!白から黒に戻りかけてる!!!!!」とバシバシ肩を叩かれて「まだ終わらんよ私の時代は」と息を吹き返した
— マツダ ミノル(単行本発売中) (@MATUDAMINORU) March 4, 2024
まとめ:漫画『兄だったモノ』は面白い?ハマった魅力はこの世界観|1話あらすじネタバレ
まだ読んだことない人は第1話だけでも読んでみて欲しいですね。
ホラーだけどエグいことはないよ!